醤油ラーメンが大好きな富山県人のふるさとの味 大喜

NIPPON一ラーメン大好き高木純です。

富山県で有名な醤油ラーメンといえば「ブラック」に尽きるでしよう。この名称はテレビやインターネットなどのメディアで多数、紹介されたおかげか、 全国的に定着したといっても過言ではありません。 富山ブラックの特徴といえば真っ黒のスープではないでしようか。ここまで炭のように黒いスープは他県で、お目にかかれない代物です。

このラーメンの発祥は富山市の繁華街、西町の店「大喜」にあります。富山大空襲があり、 戦後の復興に従事した人々のために「大喜」では富山ブラックを考案しました。 これは、ご飯と一緒に食べられるおかずのような感覚で作られたと言います。だから出汁は醤油により真っ黒で塩分が高い物になったのです。 高度成長の時代に入っても店は続きます。その時代、対象になった客は肉体労働者の人々です。 仕事で大量の汗をかくので彼らは水分と塩分の補給が必要となってきます。そのため「大喜」のブラックは彼らに好まれ店は大繁盛して、 その名を県内にとどろかせました。その噂を聞きつけた県内の「食いしん坊」たちも、西町に来た際は必ずこの店を訪れました。 そして、店はさらに繁盛していきました。

時代は変わり平成に入ると世は健康ブームの時代に入りました。 濃い味の食べ物は敬遠されるようなご時世となったわけです。 破竹の勢いで富山のトップを走り続けた「大喜」ですが、時代の波には勝てず2000年に惜しくも閉店しました。

それでは富山県からブラックは消えたのでしようか。 マスコミで富山といえば「ブラック」が定着しているわけですから、そんなはずはありません。 実は、若い世代が「大喜」を受け継いでいたのです。テレビで話題を呼んだ「喜八」や「麺屋いろは」などが営業していますが、 いまでもこの味が受け継がれているのです。むろん味は時代に合わせてマイルドになっています。 塩分を控えたうえで魚介をベースとしたコクのある味わい深いスープです。

ただ、だし汁の色はあの炭のような真っ黒に見えます。県外の方は、これを見てしょっぱそうに見えるのに、 そうではないのでびっくりされます。そして口々に「おいしい」と言って帰られるようです。

「大喜」は、いつの時代も富山県人にとって「ふるさと」の味です。 そして、その味を今でも若い人たちが受け継ぎ、あの変わらないおいしさを県民に提供し続けているのです。